本研究は,大学生を対象として,社会的ルールの決定場面における討論手続きの検討を行った.調査協力者は,ルールの決定手続きに関して,討論条件もしくは統制条件に割り当てられた.質的に異なる複数のルールを提示し,統制条件よりも討論条件において,ルール決定が支持されるかどうかが検討された.研究1では,討論あり条件と討論なし条件においてルール決定を支持する程度は異ならなかった.研究2において,他者視点が提示されるボトムアップの討論手続きを示した場合,討論なし条件よりも討論あり条件においてルール決定が支持されていた.また,いずれの領域(道徳,慣習,個人,個人道徳,状況的慣習)においても討論なし条件よりも討論あり条件においてルール決定は支持されていた.この結果の再現性を検討するために研究3を行った.その結果,研究2を支持する結果が得られた.