成人愛着スタイルの1つであるおそれ型の攻撃性の高さについては,これまで一貫性のない報告がなされてきた.本研究は攻撃性の抑圧,特にその防衛的な側面の抑圧という観点から,この攻撃性のあり方を検討することを目的としている.P-Fスタディを用いて攻撃性を,日本語版RQを用いて愛着スタイルを測定し,大学生・大学院生の女性206名を対象に分析を行った.その結果,他の愛着スタイルと比べておそれ型には潜在的な水準での攻撃性の抑圧が存在し,特に攻撃性の自己防衛的な側面が抑圧されていることが示された.この結果から,これまで一貫性のなかった知見は,攻撃性の抑圧という同じ現象の異なる側面として捉えられることが示唆された.