本研究は,不快な情動をあらかじめ回避しようとする傾向(不快情動回避心性)が,現代の青年に特徴的とされる友人関係に対してどのように影響を及ぼすのかについて検討することを目的として行われた。具体的には,不快情動回避心性は,自己開示に伴う自己の傷つきの予測を媒介して表面的な友人関係へとつながるという因果モデルを想定し,その検証を行った。本研究では,大学生190名(男性61名,女性129名)を対象として,質問紙調査が実施された。構造方程式モデリングによるパス解析の結果,不快情動回避心性から「群れ」「気遣い」へは直接的な影響のみが認められ,また,不快情動回避心性から「ふれあい回避」については,傷つきの予測を媒介要因とする影響のみが認められた。このことから,直接的あるいは間接的に,不快情動の回避が青年期の表面的な友人関係のもち方へとつながっていくことが示唆された。