本研究では, 大学生を対象にして意識的防衛性が敵意と抑うつの関係に及ぼす影響を検討した。642名の大学生を対象とし(男性418名,女性224名),シニシズム尺度,意識的防衛性質問紙およびCES-Dへの回答を求めた。階層的重回帰分析の結果,男性の場合敵意が抑うつの予測因子であるが,女性の場合には敵意がきわめて高ければ,意識的防衛性の低さにより抑うつに対する敵意の影響力は増幅する傾向のあることが示された。この結果について,高敵意で意識的防衛性の低い女性が経験しうる対人藤の観点から論議が行われた。