本研究は,成人期の女性のワーク・ファミリー・コンフリクトと精神的健康との関連について,パーソナリティの調節効果の影響を検討することを目的として実施された。対象者は共働き家庭で,夫・子どもと同居している女性288名(平均年齢42.5歳)で,郵送法による質問紙調査を行った。パーソナリティは,日本語版Temperament and Character Inventory (TCI) によって測定された。階層重回帰分析の結果,精神的健康へは,労働時間,ワーク・ファミリー・コンフリクト,パーソナリティ特性である損害回避と自己志向の主効果,ならびにワーク・ファミリー・コンフリクトと自己志向の交互作用の影響が有意であった。さらに交互作用の検定の結果,自己志向が高い場合にはワーク・ファミリー・コンフリクトが高くても精神的健康が維持されることが示され,自己志向の調節効果が認められた。