わが国での抑うつ研究は,どのようにして研究されているのかを調べるために,1990年から2006年に発刊された18の学術誌から,974の抑うつ研究を展望した。抑うつ研究の特徴を捉えるために9つの変数に関してコード化基準を設け,各々の研究をコード化した。分析の結果,抑うつ研究が報告される学術誌は,3タイプに分類できることが示された。多くの事例研究は,精神疾患の診断基準や抑うつ尺度を利用せずに診断名を付けていることが明らかになった。測定をしている研究では,19%は10項目未満で抑うつを測定していることが示された。また,26%は連続変数で測定した抑うつ尺度を離散化していた。これらの結果から導かれる,事例研究と尺度利用法の改善策について考察する。