本研究では,心配に関するメタ認知的信念を測定する尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。大学生の自由記述式調査を基に項目の作成を行った。大学生353名のデータを対象として因子分析を行ったところ,第1因子「ネガティブなメタ認知的信念」と第2因子「ポジティブなメタ認知的信念」が抽出された。両下位尺度ともに安定的な内的整合性が示されたことから,尺度の信頼性が認められた。また,特性不安,心配性傾向及び問題解決スタイルを測定する尺度との関連性により,構成概念妥当性が確認された。加えて,心配を誘導する実験において,本尺度で測定されるメタ認知的信念が心配への評価と関連することが認められたことからも,本尺度の構成概念妥当性が裏付けられた。本尺度によって測定される心配に関するメタ認知的信念の特徴について考察を行った。また,心配に関するメタ認知的信念に着目することによって得られる臨床的示唆について述べた。