本研究は,中国人大学生を対象に,強迫傾向尺度を作成し,その得点と親の養育態度尺度との関連性を検討した。研究Ⅰでは,230名の大学生・大学院生に,予備調査で作成した60項目の強迫傾向質問紙に回答を求めた。因子分析により,「疑惑・制御」,「確認」,「正確」「優柔不断」,「洗浄」という5つの下位尺度,合計49項目からなる,強迫傾向尺度を作成した。また,充分な信頼性(内的整合性・再テスト信頼性)と妥当性(因子的妥当性・基準関連妥当性)が確認できた。研究Ⅱでは,重回帰分析を用いて,下位尺度を中心に,強迫傾向と親の養育態度との関連を検討した。その結果,男性においては,「強迫傾向」及びその3つの下位尺度「正確」,「確認」,「疑惑・制御」と親の養育態度の間に有意な相関が見られた。一方,女性においては,「優柔不断」「洗浄」という男性とは違う側面において,親の養育態度との間に有意な相関が見られた。