本研究では,小学生から高校生までの450名を対象に2時点でのパネル調査を行い,携帯電話の使用が友人関係の深さと密着性に及ぼす影響について検討した。分析の結果,携帯電話の使用が友人関係の深さに及ぼす影響では,有意な効果が見られず,密着性に及ぼす影響では,いくつかの変数で有意な効果が見られたことから,携帯電話の使用が友人関係の深さに及ぼす影響は大きなものとは言えないが,密着性に及ぼす影響はある程度認められることが示唆された。校種別に見ると,高校生では,虚構の心理的一体感,情緒的依存が高いほど,密着性が増加すること,中学生では,インターネット量,真実の心理的一体感,情報伝達,情緒的依存が高いほど,密着性が低下することが示され,小学生では有意な結果は見られなかった。さらに,友人関係が携帯電話の使用に影響するという逆方向の関係を示す結果もいくつか得られ,密着性と虚構の心理的一体感や情緒的依存との間に,互いを高め合う循環的な関係があることが示唆された。