本研究では学校生活への順応と学校生活の享受の2側面を区別して学校への心理的適応を捉え,学校生活の下位領域に対する意識との関係を明らかにすることで,両概念の違いについて検討することが目的であった。質問紙調査により得られた中学生407名分のデータから,以下の知見が得られた。まず,因子分析からは学校生活への順応と学校生活の享受を区別して捉えることの妥当性が確認された。重回帰分析の結果,学校生活への順応・学校生活の享受ともにクラスへの意識が影響していた一方で,順応には友人への意識が,享受には教師・校則への意識が影響するという違いのあることが示された。学校生活に順応することと学校生活を享受することの違いについて検討され,順応に影響していた友人関係は生徒が不安を感じやすい領域であり,享受に影響していた教師や校則といった領域は生徒が反感を抱きやすい領域であることが示唆された。