わが国では,社会的望ましさ反応の測定についてCrowne & Marlowe(1960)の社会的望ましさ尺度が邦訳されて使用されているが(北村・鈴木,1986),社会的望ましさ反応を測定する尺度の因子構造は研究者によって異なっている。そこで本研究においてはまだ邦訳されていないPaulhus(1991)のバランス型社会的望ましさ反応尺度を邦訳し,安定した因子構造を持つ新たな社会的望ましさ反応尺度を作成することを目的とした。調査1では探索的因子分析によって自己欺瞞,印象操作の2因子構造が見出された。調査2においては他集団のサンプルを対象に確認的因子分析を行い,交差妥当性が確認された。調査3においては他の概念との関連から構成概念妥当性が示され,調査4においては基準関連妥当性が認められた。以上より,バランス型社会的望ましさ反応尺度日本語版の信頼性と妥当性が確認された。