本研究は,“社会的場面で,個人の欲求や意思と現状認知との間でズレが起こった時に,内的基準・外的基準の必要性に応じて自己を主張するもしくは抑制する能力”である社会的自己制御(Social Self-Regulation; SSR)を測定する尺度を開発し,その信頼性・妥当性の検討を行った。研究1では,予備調査で選定された42項目に対して,大学生,高校生673名に回答を求めた。探索的因子分析の結果,SSRは「自己主張」「持続的対処・根気」「感情・欲求抑制」の3下位尺度(計29項目)から構成されることが示された。また,尺度の十分な信頼性と収束・弁別妥当性も確認された。研究2では,脳科学的基盤が仮定された自己制御概念として行動抑制/行動接近システム(BIS/BAS)・実行注意制御(EC)を取り上げ,SSRとの関連を検討した。その結果,先行研究を支持する結果が得られ,構成概念妥当性が確認された。