本研究は,調査参加者に他者から注意・叱責を受けた過去の経験を想起させ,その他者(叱責者)の特徴によって,屈辱感,羞恥感,罪悪感の各々の感情の喚起に影響があるかどうかについて検討を行った。その結果,嫌いな人間に叱責された場合に屈辱感が喚起された。また,機嫌を損ねたくない人間に叱責を受けた場合に羞恥感が喚起された。さらに,好かれたい人間に叱責された場合に罪悪感が喚起された。また,構造方程式モデリングの結果,叱責者の違いが直接関係修復反応に影響を与えるのではなく,それらの間に罪悪感と屈辱感の感情が媒介することが見いだされた。つまり,罪悪感が関係修復反応を促進し,対照的に,屈辱感が関係修復反応を抑制した。