色・形問題は,知覚に基づくパーソナリティ理論の一つである。この理論では従来,色彩の利用と形態の利用は1次元上の対極概念として扱われてきたが,本研究では色彩利用性と形態利用性の間に2次元斜交性を想定した上で,パーソナリティ特性が両利用性に与える影響性を検討した。パーソナリティ特性の測定にはNEO-PI-Rが用いられ,色彩利用性と形態利用性の測定には3種類の類似性評価検査(3-SET)が用いられた。収集されたデータのうち,265名の大学生・専門学校生のデータに対して,マルチレベル構造方程式モデルによる分析が行われた。その結果,NEO-PI-Rの主要5因子のうち,開放性は色彩利用性に正の影響を与えることが示唆された。また,30下位次元のうち,衝動性と達成追求は形態利用性に負の影響を与えることが示唆された。最後に,心理査定における本研究の知見の利用可能性が検討された。