わが国では,バーンアウトの測定についてMaslach Burnout Inventory(MBI)の邦訳が多く使用されているが,教師を調査対象とした場合,原尺度通りの3因子が抽出されず,因子構造が不安定であることがさまざまな研究者により示されてきた。そこで本研究では,中学校教師を対象に,日本語版バーンアウト尺度(久保,1998)とSRS-18(鈴木・嶋田・三浦・片柳・右馬埜・坂野,1997)を使用し,バーンアウトと短期的ストレスとの関連性の観点から,教師を対象とした場合の日本語版バーンアウト尺度の因子構造を検討することを目的とした。調査は3回に分けて実施され,異なる3つの地域の中学校教師,合計1,313名が対象となった。日本語版バーンアウト尺度の確認的因子分析を行い,また共分散構造分析による日本語版バーンアウト尺度とSRS-18との関連を検討した結果,バーンアウトは,情緒的消耗感,脱人格化,個人的達成感の低下の3因子から捉えることが適切であると確認された。