本研究では人々の学業目標追求時の自己統制葛藤状況に焦点をあて,学業場面における誘惑対処方略 (Temptation Coping Strategy in Academic situation: TCSA)に関する尺度を作成し,その信頼性および妥当性を検討した。研究1では,予備調査で選定された40項目に対して,大学生に回答を求めた。因子分析の結果,TCSA尺度は「目標意味確認方略」「気分転換方略」「誘惑回避方略」「目標実行方略」の4つの下位尺度(計20項目)から構成されることが示された。研究2では妥当性の検証を目的に,自己調整学習方略,学業的満足遅延,先延ばし意識特性との関連を検討した。研究3では,再検査信頼性の検討を行った。その結果,妥当性に関して幾つかの課題が残るものの,TCSA尺度の信頼性と妥当性が確認された。