コミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したENDCOREモデルを発表してから6年が経つ。その間に,このモデルを構成する6スキルを測定する尺度である“ENDCOREs”は,コミュニケーションやスキル・トレーニングに関する諸研究で用いられるようになってきた。今後,幅広い領域における研究や活動に活用されるためには,ENDCOREモデルおよびENDCOREsに対する再現性を確認し,ENDCOREsの因子と項目の性質を明らかにしなければならない。さらに,コミュニケーション・スキルの定義についても,明確にしておく必要がある。そこで,本研究はこれまで蓄積してきた2,184人のデータを用い,ENDCOREモデルの構造およびENDCOREsについて再検証を行った。その結果,おおむね藤本・大坊 (2007)と同様の分析結果が得られた。しかしながら,従来のモデルでは十分な適合性が得られなかった。そこで,概念的に妥当かつ十分な適合性を持つモデルに最適化した。これらの知見を受けて,コミュニケーション・スキルの概念的定義とENDCOREモデルの実践的活用について議論した。