日本人成人の男子149名,女子178名について,足部および下腿部の26計測項目の計測を行い,左右足の差の検討を行なった。本論文では,各計測項目の左右差だけでなく,靴を選択するときに重要な足長,足囲ボール,足幅などの組み合せにおける足の左右差を重視した。左右差データに「入れ子式」分散分析法を適用することにより,見かけの左右差に含まれる計測誤差の割合を計算し,左右差があると認める境界値を設定した。その結果,足長については,左右足ともに等しい者の割合は男子で約17%,女子で約74%,足幅では男女ともに約53%,足囲ボールでは男女ともに約45%であった。また,足長,足囲ボール,足幅の組合せにおける左右差パターンをみると,男子では足長が左>右で足幅と足囲ボールの左右が等しい者が全体の約15%で最も多く,一方,女子ではこれら3項目ともに左右足が等しいパターンが最も多く,全体の約17%を占めていた。