1987年7月に米国から輸入されたサクランボと国産サクランボを化学成分組成と5℃と20℃に貯蔵した時の貯蔵性の面から比較検討した。 1) β-カロチンとビタミンCは, 国産がそれぞれ平均で50.8μg/100g, 6.5mg/100gで, 米国産の約1.8倍及び2倍であった。有機酸はいずれもそのほとんどがリンゴ酸で, 国産が平均で0.21%上回った。 2) 糖組成はいずれもSucrose, Glucose, Fructose, Sorbitolで, 国産と米国産の差異はほとんどみられなかった。遊離アミノ酸はアスパラギンがほとんどで, 次いでグルタミン酸であった。アミノ酸量は国産が多かった。 3) 貯蔵中に酸, 遊離アミノ酸は減少した。糖は国産で大きな変化はなかったが, 米国産はバラツキも大きく減少傾向を示した。ビタミンCも全体としては減少の傾向であった。貯蔵温度は米国産の5℃に酸の減少抑制がみられたほかは, 減少速度に若干の差異が認められた程度で, 5℃と20℃に明らかな成分変化の相違はみられなかった。 4) 果実の官能評価は国産が高く, 貯蔵性も優れていた。米国産は品質のバラツキが多く, 酸と糖のバランスに欠けるものがみられた。