甲州ブドウから醸造した白ワインを用いて, PVPPによるワイン中のポリフェノール除去率や品質保持効果を検討した。PVPP500, 1,000および2,000mg/ l 濃度でのポリフェノール除去率は, それぞれ16.3%, 21.1%および28.9%で, 添加濃度が増加するに伴い, 除去率は徐々に増加する傾向を示した。また, ワイン中の各フェノール成分を分画してPVPP処理の影響を検討したところ, フェノールの種類に関係なく, いずれも同様な割合で一様に除去された。つぎに, 各種市販白ワインをPVPP500mg/ l 濃度で処理した場合, ワインのポリフェノール含量が高くなると, その除去率が低下する傾向であった。なお, 白ワインのPVPP500mg/ l 濃度での最大除去率は約20%であった。 ワインを60℃の高温下で品質劣化試験した結果, PVPP無処理区では保存4日後には飲用不適のワインとなったが, 処理されたものは, 十分飲用可能であった。またPVPP処理されたワインは加熱による蛋白混濁が顕著に抑制された。 PVPPを500lのワインに添加する実用試験を行ったところ, 添加1時間後にポリフェノール除去率および色調が一定となり, 短時間で処理が終了することがわかった。またこのワインをびん詰めした後, 27℃下で120日貯蔵したが無処理区に比較して品質が高く保持され貯蔵性が高かった。