本研究は, 緑熟バナナ果実から調製した切片の生理特性と品質変化に対する切断形状の影響を明らかにしたものである。 切片の貯蔵 (20℃) に伴って, 果皮の黄化, 果肉のデンプン含量の減少, 糖含量の増加など無切断の果実の追熟に伴って生じる変化と同じ成熟現象がみられた。このような成熟に伴う変化は縦切り切片で最も顕著で, 輪切り切片では切断角度が大きくなるに従って成熟が速くなった。 包装内のCO2とC2H4濃度の増加も縦切り切片において最も顕著で, 輪切り切片では切断角度が大きくなるに従って増加が速かった。縦切り切片のCO2排出量とC2H4生成量が4切片の中で最も速く増加し, 輪切り切片では切断角度が大きいほどこれらの増加が速かった。 切片の切断形状が異なると生理的特性や品質変化に差異が生じることには, 切断に伴って増加するC2H4の生成速度の差が影響したものと思われる。