アントシアニンは,果実や花の色素成分として広く分布しているが,フラボノイドの一種として抗酸化性や視力改善作用などの健康機能を示すことが明らかになり,食品素材として注目されている。黒大豆の種皮にはアントシアニンが多く含まれており,黒大豆を原料とした食品は内臓脂肪の蓄積の防止,肝機能障害の防止などの効果があることが報告されている。筆者らは地域特産物である黒大豆を原料とした新規味噌製品の開発を目的として,黒大豆味噌におけるアントシアニンの一種シアニジンの挙動と醸造期間中の変動を詳細に解析している。今回は,原料黒大豆に対する「色止め」処理の効果,試験醸造における成分や抗酸化性等の変動についての貴重な知見について解説していただいた。