一、諸味の力は麹の良否に由るから充分に製麹の際諸條件を滿足する様に管理をして成分の利用率を高めることが必要である。 一、製麹中の手入に就いても方法の如何によつても酵素力に可なり相違を現はすものである。 一、製麹中カモニリアに由る侵害は、熟成と品質に影響するし、麹の蛋白質分解力に可なり關係を有するものであるから注意せねばならない。 一、モニリアに侵された麹を使用した諸味中でものアミラーゼの力に相違を來たすが、アミノ態窒素生成には極端な差は餘り示さないが尚研究の餘地がある。 一、各種原料配合を異にした仕込の汁液は可なりエキス、全窒素、總酸に差違を示し、時には同様の仕込原料配合諸味でも全窒素が二分の一にも當らぬものが生ずる事は諸味管理上最も注意すべき事である。