昭和27年1月号の醸造協会誌上に仙台国税局鑑定官室の菊池氏が清酒酒母製造に於け為異性重亜硫酸加里の添加試験について発表せられている。氏によれば本薬品の微量の添加によつて, 不純酒母中の有害菌を殺減し, しかも酵母の発育は本薬品500P. P. M程度の添加に於いては何等支障なく, 却つて, 無添加の対称に比して, 香味優良なものが得られたと云う。かくして氏は若し, 酒母が不純の場合, 或は変調な経過をたどった場合には本薬品を添加することによつて救済の目的を達することが出来ると結論せられる。 著者らも葡萄酒醸造への異性重亜硫酸塩の利用とこれに関連して, 醸造全般への応用を研究して居たが, 種々の文献, 研究結果を紹介しつつ, 業者らの研究について述べたい。