清酒の製造において, 麹は非常に重要な役割を持つていることは, 今更いうまでもないことであるが, 現在酒造場では, その麹の標準を出麹によつて決定している。しかし最近の麹の使用状況を見ると, 大部分の酒造場が, 桔し麹を使用している。 北海道のような厳寒の酒造では, 枯し場の温度が零度, あるいは, それ以下になるので使用麹の状態が, 日々にかなり相異があるので, 必然的に一定の保温量が必要である。 以上の関係から, 設備費や燃料費も入用であるので, どの程度のものが必要で, どの辺の温度で枯し場を, 作るのが良いか知るために一応実際の仕込に使用する出麹を対象に, 酵素試験を行つたので報告する。 試験に使用した麹は, 相当乾燥度の高い良好な麹であつた。