我々は第1報において低温若, 低温老, 高温若, 高温老の4種類の麹で醪を仕込み.更にそれぞれの羅についてアルコール添加時期を異にしたアルコール添加酒を作り, それ等の火入後の濁度を観察した結果, 高温麹のものが低温麹よりも濁度高く, 又老麹 (時間的) の方が若麹よりも高い傾向に有る事を見た。又アルコール添加時期については, 寧ろ若醪にアルコールを添加したものの方が, 老醪に添加したものよりも濁度が低いという結果になつた。ところがその後に至つて此の実験が方法的にみて不充分であることに気付いた。即ちこの実験においては醪の老若を問わず一律に30%アルコールの添加によつて添加後のアルコールを20%にしたのである。その為未だアルコールの生産が充分行われていない若醪に対してはアルコール添加量が多くなり, 醪の醗酵が旺盛となりアルコール分の集積が多くなると共に, アルコールの添加量が少くなつて来る。即ち醪の若いもの程稀釈される割合が高い理となり, それだけ火入れ後の濁度も低く現われる傾向がある理屈になる。斯くの如き理由でアルコール添加時期に対しては第一報に述べたような推論を下す事に危険性を感じたので, アルコール添加の方法を合理的にねり直し, 又製麹時間を3段階にわけて第一報と同じ様な仕込み試験を行つた。 更に火入時期も, 上槽後10日目, 1カ月後, 2カ月後の3回にわけて後熟の効果を検討し, 又第2報21の如く貯蔵中における濁度の変化も観察したのでここに報告する。