1. 腐造酒180 l より腐造臭の本体の存在する揮発酸部を分離した結果、その部分の主体を為すものは酢酸である事を再度確認した。 2. 腐造酒中には多量の乳酸を保有する。 3. 腐造酒中の中性エーテル溶出区分はアセトイン, ブチレングリコール等で格別健全酒中の成分と異つたものでは無い。 4. 激しく醸酵の清酒もろみに酢酸を投入して数日後これをかいで顕著な腐造臭を感知する事が出来た。 即ち腐造臭の本体は酢酸でありその腐造の程度が軽い時は酸臭又はつわり臭として感知されるものである。従つて後者の臭は火落臭本体のジアセチルとは異り過酸化水素処理によつては消去出来ぬものである。