(1) 最近4力年 (昭和29~32酒造年度) における旧式焼酎2278点の酸度を調査したところ, アルコール25 (Vol)%aに換算して, 酪取焼酎の酸度の頻度分布は1.5以下, 粕取焼酎のそれは0.5-2.4の範囲内に集中している。 (2) 旧式焼酎, 特に酸取焼酎の品質による酸度との差異は x 2-検定によつて有意であるが, 粕取焼酎に於ては有意差は認めがたい。 (3) 酸度の頻度分布は主原料の異なる焼酎, 例えば芋焼酎, 米焼酎, 米糠焼酎, 麦焼酎, 雑穀焼酎, 黒糖焼酎, 粕取焼酎などにより多少特色が見出される。また, 主原料の如何に拘らず上位群の酸度は概して低い。 (4) 有機酸の定性的分別, 揮発酸のDuclaux曲線さらにペーパークPマトグラフの結果から, 旧式焼酎に含有される有機酸は酷酸, 乳酸, 蟻酸が主体であることを確認した。然るに, 今回はC3以上の脂肪酸については確認するにいたつていない。 (5) 旧式焼酎の各酸度, 例えば総酸度, 揮発性酸度, 不揮発性酸度, ならびに主要有機酸, 即ち酷酸, 乳酸, 蟻酸等の重量及びこれ等の租互比については, 酸取焼酎と粕取焼酎との両群問における差異はt-検定の結果何れの場合も有意とは認め難い。 (6) 多酸焼酎はnormal焼酎に比して総酸量, 揮発性酸度及び酷酸量が大である。さらに揮発性酸度対不揮発性酸度及び蟻酸対酷酸の各相互比については, 多酸焼酎とnorlnal焼酎両群間における差異は何れも有意であることが認められた。 (7) 旧式焼酎の揮発性酸度対不揮発性酸度の相対比は5: 5~9: 1, 蟻酸対酷酸対乳酸の重量比は0: 4: 6~1: 8: 1である。 終りに御校閲を賜つた東京国税局鑑定官室長有松嘉一氏並びに御指導御鞭達を賜つた福岡国税局鑑定官室長上野信一氏, 熊本国税局鑑定官室長熊谷秀逸氏に深謝致します。