(1) 米麹α-amylaseの無機塩による抽出能は塩の種類によつて異り, 一般に2価のCa++, Mg++の如きアルカリ土金属イオンが1価のNH3+, Na+, K+のアルカリ金属イオンより大である。 (2) これはイオン半径の小なる荷電の多いcation程電荷密度が大きくなるため電気的に澱粉に結合しているα-amylaseの抽出を容易にするものと推定される。 (3) 蒸溜水によつてはα-amylaseは殆んど抽出されず, これは既往の報告と一致する。 (4) 塩類濃度が高い場合は対応的に抽出能は促進されるが終極的には塩類の種類による差異は見られなくなる。 (5) 米麹S-amylaseは蒸溜水によつて良く抽出される。 (6) 無機塩溶液ではむしろS-amylaseの抽出が阻害され, その阻害率は蒸溜水に較べてCa++Mg++, Ba++では約40%, K+, Na+, NH3+では約30%, Al+++では約60%である。 (7) 米麹acid-proteaseの抽出にはAlCl3を除いた他の塩類は促進効果があり特にCaCl2, NaClが比較的大である。 (8) alkaline-protease は蒸溜水により殆んど抽出され塩類による影響は殆んど認められない。 (9) 米麹α-amylaseの生澱粉に対する吸着は綾米より糯米の方が良好である。この原囚は両者の米のamyloseとamylopectinの含有量の相違によるものであると推定した。 (10) α-amylaseの濡米生澱粉に対する吸着はCaC12, NgCl2, KCl, NaClなどの塩類が介在すると逆にその吸着性が妨害される。 (11) 儒米生澱粉に対するα-amylaseの吸着は温度に支酎され高温 (20℃) より低温 (6℃) の方が良かつた。