液体麹による香味液の第1回試験を行い醪の検討を行った。その結果 1) アルコールは固体麹と同様な生産曲線で所定日数で17%以上醸出せしめることが出来た。 2) 醪初期球菌が発現し, 酸度は著しく増加したが, ボーメ, 直糖はほぼ固体麹と同様な経過を取り得た。 3) 酸素力価は略々対照と同様となり平行複醗酵型式をとることが出来た。 4) 澱粉の溶解率は固体麹の場合より極めてよく溶解され, 津歩合も少く米は殆んど利用された。 5) 製造成績も灘が少ないこと以外は歩合も特に異る点はなかった。 6) 香味液の品質は良好とはいい難いが, 合成清酒とした場合は固体麹によるものに比較して何等差を認めることは出来なかった。 7) 粕はやや淡褐色となり出麹後直ちに仕込を行うならば避けられると思うが, 今後検討を要する。 要約すると, 検討すべき点は多々有るが, 第1回の試醸では液麹による香味液の製造の可能なることを確認することが出来, 又経過としては固体麹と略々同様な型式で醗酵せしめ得ることを知った。 終りに種々御指導御鞭撻を賜った坂口謹一郎先生並びに本発表を御許可下さいました協和醗酵工業加藤弁三郎社長に深く感謝致します。