1. 合成清酒の香味増強の一手段として, IMPの添加利用を考慮し, その使用量, 酒質への影響を検討した。 2. 純合成酒中に等濃度のIMP, MSGをそれぞれ単独使用してこれらの旨味の強さを比較した場合, 旨味の感じ方には個人差がある。しかしパネル全体としては有意差が認められない。 3. MSG, IMPの間では旨味の相乗作用が認められるが, 最大の効果を挙げうるのはMSG+IMP=0.02%ではMSG: IMP=3: 1~1: 1の配合比率の場合である。 純合成酒中, MSG (3) +IMP (1) =0.02%はMSGO.06%と等しい旨味の強さを有する。 MSG (3) +IMP (1) =0.01%はMSGO.02%と等しい旨味の強さを有する。 従ってMSG (3) +IMP (1) の濃度が低くなった場合, その旨味の強さの減少はMSGにおけるよりも著しいと考えられる。 4. IMPを香味液入り合成酒 (冷酒) に添加した場合, 全体的な旨味を増加すると判断される。 同様の場合, 著るしくではないがまる味, ふくら味を増す, 又はmildになると判断される。 あと味の嗜好は判定人によっては好まれるが, パネル全体としては有意の差は認められない。5. 燗づけしたIMP+MSG入り合成清酒に対する批評の結果から, 嗜好対象によって成分配合を考慮すればIMP利用の効果は更に挙げうるものと考えられる。 終りに, 終始御懇篤なる御指導をたまわった坂口謹一郎先生及び飯田主任研究員に御礼の言葉を申述べると共に, 御協力下さった醗酵化学・工学両研究室員各位, 統計的処理について御教示された佐藤信氏に深甚なる謝意を表します。