製麹技術の簡易合理化を図る目的で全床式, 折衷式による製麹を行い麹蓋使用の従来式と比較検討を試みたところ次の結果を得た。 (1) α-amylaseの力価はいずれの方法においても大差がなく品温経過の高低及び製麹時間の長短に比例して増減する傾向があった。 (2) S-amylaseの力価はやや全床式, 折衷式の方が低い傾向を示した。 (3) acid, alkaline-proteaseの力価はいずれも全床式の方がやや高い傾向を示した。 (4) 各法による米麹の糖分, F.C.R.液を添加した透過度を比較して見ると全床式の方がともに小さい値であった。又米麹の肉眼的官能的観察では従来式と全床式の間に判然たる差異が認められた。一方折衷式の米麹はこの観察では全床式に酷似しているが透過度の点では逆に従来式に近似する傾向があった。