吾々は, 固体麹と液体麹の酵素力価を比較し, 1) 液体麹の使用量は出麹時32-35R. D. V. を示す麹ならば汲水の5割の使用量で香味液醸造は可能である見透しを得た。 2) 固体麹の力価の表示は溶出デキストリンによりかなり高い値を示すので, このことを考慮するならば, 液麹使用量は更に少なくてよいと推察され, 将来30-40%の麹使用量でも香味液の製造は可能であると思われる。 3) 固体麹の酵素は食塩抽出でも完全には抽出されず, 有効酵素量は実際よりかなり少ないものと考えられた。 4) 水麹に於て, 固体麹はその時間により酸性プロテアーゼは漸次減少し, 時間を経るに従ってアルカリ性プロテアーゼが増加することを知った。このことは水麹時間が酒質に関与する可能性を示すものとして興味が有る問題と考えられる。 終りに, 本研究に当り種々なる御指導御鞭撻を賜わった, 坂口謹一郎先生並びに本報告発表を許可いただいた協和醸酵工業株式会社社長, 加藤弁三郎氏に謝意を表します。