清酒醪発酵室中の炭酸ガス濃度分布を, ガス・ソリッド・クロマトグラフィーにより, ゴンクリート庫3か所, および在来の木造庫の3か所において, 庫内各所 (発酵タンクの真上は除く) の多数の試料について測定した。その結果, 木造庫では最高0.98%, 平均0.5%以下で衛生的に支障なく, 理論的に発生する炭酸ガス量に比し非常に低い。その理由として, 木造庫では壁面, 屋根等に微細な間隙が多数あり, これらを通して自然の換気が非常によいものと考えられる。他方コンクリート庫において, 炭酸ガス濃度は, 醪の多少より換気量の大小に左右されており, 最高2.51%, 平均は約0.5%で許容限界に近く, 品温調節のため窓扉を閉じれば, 発生炭酸ガスは室外に逸出出来ず, 室内炭酸ガス濃度は当然上昇し, 安全操業に支障を来すおそれのあることを指摘した。