山廃翫及び速醸翫に乳酸菌を添加してその動向を調べ次のことを知った。 1) 山廃翫の仕込み時に多酸清酒もろみより分離した乳酸菌を添加すると良好な生育を示し, 酸の蓄積も著しく, 湧付き時にやや菌数の減少が認められたが, 以後枯し期間中もほとんど生菌数の減少は見られず, 108/gのレベルを保つ。 2) 速醸翫に多酸もろみから分離した乳酸菌を添加した場合, 6日目に湧付かせた時には菌の増殖は認められないが, 10日目に湧付かせた時には良好な菌の増殖が認められた。これは温度とpH変化のためと推定される。