多数の黄麹菌の生理的諸性質の相違を簡易に検知する方法として次の諸項目の試験法を比較した。 まずCzapek液寒天をペトリ皿にひろげてその中心に菌を接種し, 一定温度 (32-34℃) に5-7日間培養して巨大集落を形成させた菌体を用いる。(1) Phenolの酸化性一ハイドロキノン, ピロガロール, カテコールなどの1%水溶液を集落上に撒布して20℃ 前後に直射日光を避けて一昼夜放置し, 菌体周辺の培地の呈色を検する (2) MB脱色性一定形状の試験管に集落のスポット1個を入れ, これに0.0001%MBを含む0.1M phosphatebufぞer (pH7.4) 3mlを加えて直ちに密栓し30℃に放置して青色の消失する速さ (時間) を測る (3) TTC染色性一試験管に集落のスポット1個を入れ, これに0.1%TTC水溶液1mlと0.1Mphosphatebuffer (pH7.4) 2m, lを加えて直ちに密栓して30℃ に保ち対照と比較しながら菌蓋 (菌体) 裏面が紅色に染色する速さ (時間) を測る。 これらの実験を繰返して行なうに菌種により必らずしも前後一致しないものがあるが菌株の生理的性質の傾向を知ることは出来る。