生酸速度が緩慢で最終生酸量も少ない山廃酒母の乳酸菌群を調査して次の結果を得た。 1.これらの酒母は蕪糖培地で粘質物を生成する Leuconostoc sp.が終始優位を占めて推移した。 2. Lactobaillus sake 型の桿状乳酸菌を添加して正常な経過の酒母を得たが, その場合両乳酸菌群は平行して増殖し, 前暖気期間中ほとんど増減なく推移し, 湧付時に急激に死滅した。 3.麹に殺菌水を加えて培養した結果, その乳酸菌相と生酸量はその麹を採取した酒造場の山廃酒母と同様な傾向を示した。 以上の結果より, 実際の山廃酒母の乳酸菌相はそれに使用する麹の乳酸菌相によって左右されることを認めた。 終りに, 本研究に対して御協力載いた “金のメ” 醸造元山中酒造株式会社を始め試料を提供された各酒造場に感謝します。