以上の実験より光による清酒の着色経過は貯蔵温度と貯蔵日数による着色経過とは全く異なり, 直射日光を当てた場合 (9月中旬にして日射した容器の品温35℃) は, 数時間にして相当量の着色を生じ (商品価値を失い), 更に貯蔵を長くしても着色度はほとんどすすまない。次に白色瓶に清酒を貯蔵した場合は加温時間が長い方が貯蔵中の着色速度は小さく, また, 直射日光を当てた場合も同様な傾向をしめした。 以上これ等の事より市販清酒の商品価値に最も大きな影響を持っている清酒の着色は庫出し後輸送間における日光の影響や, 小売店頭における日光の影響による着色や酒質の劣化が予想以上に, と申すより決定的であることが証明されるので, 業者である以上は, 製造場主は市販清酒が直接消費者の手に渡るまでの責任と関心を持たねぱ競争裡から脱落するであろう。