前報において清酒中の着色物質の分離に活性炭を用いたが, 本報では活性炭により, 清酒中の着色物質が変化するか否かを有機溶媒抽出による方法と比較検討した。 清酒を硫安飽和後アセトンで抽出した。アセトン抽出液を濃縮してシラップ状とし, これにエチルアルコールを加えて生じた硫安の沈澱を濾別した。次にエチルァルコール溶液を濃縮し (A区分), この一部をとり活性炭クロマトグラフィーを行ない, 活性炭から60%エチルアルロールで溶出する区分を濃縮し (A℃ 区分), A区分とA-C区分をそれぞれシリカゲルクロマトグラフィーにより比較した。A区分は10の着色区分に分離し, A-C区分は5の着色区分に分かれた。その他の紫外部吸収性物質, フオリソ試薬発色性 (フェノール性) 物質および蛍光性物質はいずれもA-C区分では少なくなっていた。従って清酒の着色物質全体を分析するには有機溶媒抽出法を用いなければならない。 しかし, A区分およびA℃ 区分とも主ピークは清酒中の量, シリカゲルクロマトグラフィーおよびペーパークロマトグラフィーの位置, 色彩計による主波長がいずれも一致し, 同一物質であることがわかった。従って主ピークの精製には活性炭を用いてもよいことを知った。