乳酸の生成速度が極めて緩慢なのに強い亜硝酸反応が残存持続する山廃酒母を調査して, この酒母の前段では Leuconostoc 型の球状乳酸菌が増殖したのに107/9を最高に減少し, それに代って後最では Lactobacillus 型の桿状乳酸菌が増殖して順調に生酸することを認めた。 またこの酒母ではP seudomonas sp.が硝酸還元作用に主導的な役割を果していたが, その菌学的な性質を調べるとともに, Enterobacteria系の硝酸還元菌と対比することによって, Pseudomonas sp.が硝酸還元菌として優位を占めた場合には, 濃糖に対する抵抗性が少ないので, 糖分の蓄積にっれて増殖が阻害され, pHの低下が遅くても亜硝酸反応が持続することを明らかにした。