清酒もろみの製造において, 麹使用歩合の異なるもの, 麹の老若及び仕込方法を蒸米二段仕込み, 二段仕込みと普通仕込みの比較試験を行ない, 固形物の溶解より見た各もろみの特異性について検討した。 1) 固形物の溶解程度 (溶解比) と液相部 (濾液) の糊精及びアルコール混濁度の関係から, 溶解と糖化の均衡状態を6の型に分類した。麹歩合の多いもの, 老麹及び二段仕込みのものが他より良い均衡状態を示した。 2) 原料白米の利用率を上げるには固形物の溶解が十分に行なわれ粕量が減ることがまず必要であって, その粕歩合はアルコール添加時の溶解比を測定することによって推定することが出来る。 3) もろみ固形物の溶解によって, もろみ経過や酒化率が左右されることから, 仕込配合の修正, 仕込方法の改変及び全く新しい製造方法の開発にあたっては, 麹米の蒸米の溶解速度に差があることを十分考慮しなければならない。