清酒醸造工程におけるいわゆる「赤めし」といわれる着色蒸米の原因について研究を行なった。浸漬, 水切米よりアスパラギン培地により分離された細菌について, 低温殺菌米に対して行なった接種再現試験の結果より, 着色蒸米の原因は単独の細菌によるものではなく, 少なくとも2種類以上の細菌の働きによることが明らかにされた。そして浸漬水切操作の間に着色前駆物質が生産され, 蒸鰯により, 着色を示すようになるものと考えられた。 分離された細菌は活発な運動性を有する楕円~桿状菌で, 低温殺菌米に対する接種再現試験の浸漬, 水切米において蛍光物質を生成し, またチトクローム・オキシダーゼは陽性で一応 Pseudomonas 属と推定された。