1. 清酒もろみ中の固形物 (こうじ米および蒸米) の各種成分の変化, 吸水性, 溶解および糖化性について検討した。 2. 吸水性は蒸米とこうじ米では異なる。もろみ液相部の生理的条件は, 固形物による糖分の溶出や吸収の繰り返しによって影響される。とくに, もろみ後期における糖分の蓄積や発酵は, 固形物からの糖の溶出によって影響を受ける。 3.吸水性は酒造年度における米質差によって異なり, 蒸米の吸水が早いことから, 溶解も蒸米の方がこうじ米より早いと推察できる。 4. もろみのアルコール添加時のこうじ歩合は約60%に増大する。 5. 白米の利用率と粕歩合は相関が認められる。 6., 固形物の澱粉の糖化性は減少するが, もろみ中では固形物は断えず溶解しているので, その澱粉の老化の増大については確認できなかった。 粕歩合は仕込み時の蒸米やこうじ米の糊化の程度によって決定される。