展開剤に3%NH4Clを用いるセルロースカラムグロマトにより各種醸造物のエーテル可溶塩基性区分を2つの区分に分画した。先に溶出する区分がハルマンを含むことをペーパークロマトとUVスペクトルによって確認し, この方法で清酒, ピール, ブドウ酒, 味噌, 醤油に共通してハルマンが存在することを明らかにした。 ペーパークロマトグラムよりスポットを切り抜き, 1NHClで抽出した濾液の螢光を測定して各醸造物のハルマンを定量した。 生酒のハルマン量は1.1ppbであったが1年貯蔵後には14ppb, 3年貯蔵後には340ppbに増加した。市販醤油には12.ppb, 味噌には5.8ppbのハルマンを検出した。ビール, ブドウ酒, 本みりんには少なくいずれも2.2ppb以下であった。 ハルマンはかび, 酵母, 乳酸菌の生育を抑制し, 火落菌の生育を促進することが認められたが, いずれも高濃度 (0.02~0.08%) でしか有効でなかった。また, かび, 酵母, 乳酸菌に対する生育抑制作用は天然培地 (麹エキス) 中では弱まった。