薄層にした液体培地の表面に糸状菌の芽胞子を接種し, 培地の表面にのみ菌蓋を生育させて研究や生産に利用することは, 糸状菌の培養型式の一つである。著者は麹菌の生理学的分類, 黒麹菌によるクエン酸の製造, ペニシリウムによるペニシリンの生産, また麹菌における培地組成と酵素生産能などの研究や実用化について表面培養法を採用してきたが, 以下麹菌の酵素, 主としてアミラーゼおよびプロテイナーゼの生産に関する研究を, この表面培養法で行なった結果について報告する。本報においては, 麹菌の菌蓋を形成させる培養の方法と条件を研究した結果について報告する。