昭和41酒造年度にT酒造場の庫内および同工場で製造された全酒母麹, 全酒母, オドリおよびアル添前の全モロミより分離した野生清酒酵母437株 (庫内92株, 酒母麹11株, 酒母196株, モロミ138株) について類別を行ない, そこで分離された31株のピリドキシン要求株について庫内, 麹, 酒母, モロミにおける出現の時間的ずれを検討し, この野生清酒酵母が酒造庫の環境および酒造工程を汚染した経路を追跡した。酒造開始前に庫内床土から見出された野生清酒酵母はまつ酒母麹にあらわれ, 酒母で連醸され, 8仕込おくれた酒母で測定にかかるまで増殖し, 酒母よりモロミを汚染した。また汚染した酒母麹以降に引込まれた掛麹を通じ, 酒母とは無関係にモロミを汚染する経路もあることを推定した。