熊本局管内における吟醸づくりの実態を知るために, 熊本県に所在する酒造場から選んだ6場について, 掛こうじの製造経過, 酵素力価等を調査し, さらにもろみ経過ならびに製成酒の品質について検討した。 1. 掛こうじの品温管理は全国平均に比べ高温短期型である。 2. 掛こうじの酵素力等の成分量は全国平均に比べるとほぼ等しいとみてよく, 特異的な差異は見いだせない。傾向的には同一酒造場の成分量の変動は少なく, 各酒造場間のそれは大きい。 3. 色相・味・香り等から判断するこうじの老若は酵素力と密接な関係がある。 4. 製成酒の構成成分のバラソスは品質の特性評価に与える影響が大きい。