1. 酵素剤を用いた清酒もろみ中の固相, 澱粉糊相及び液相に吸収, 吸着及び溶離して存在する酸, アルコール, 糖分及び澱粉量の分別定量を行なった。 2. もろみの溶解比と液率を比較すると, 液率の方がもろみ液量により近似した値を示した。 3. もろみ初期においては, 全体の酸量の40~50%が固相及び澱粉糊相に吸収, 吸着され, アル添時には約70%が液相に溶離して存在する。 4. アルコールの吸収は比較的少ないが, アル添前には全体の18%が吸収, 吸着されることが認められる。 5. アルコールと共に糖分は, もろみ初期 (3日目) において固相への吸収率は最高を示し, 物料の締まり現象の誘因となるものと考えられる。また, アル添前固相部には全体の約40%の糖分が吸収されている。 6. 各相の澱粉は, 固相では減少し, 澱粉糊相ではほとんど定常を示し, 液相では糊精分が増加後減少する。