本酒造年度においては余剰米消化のため, 全国大方の酒造家が原料米の一部に古米の使用を余儀なくされ, さらに諸般の事情から今後も継続される趨勢にあるので, かなりの危惧と関心が寄せられたわけである。 当県においては, 早期着手並びにコストの低減といった面から昨年度においてもこれを使用して, とくに難点のない酒質を得ている。こういった情況に鑑み当場においては, 古米の合理的な処理方法を見出すべく, 理化学的研究調査のほかに, 41酒造年度には新米と古米の比較醸造, 42年度には標題のとおり貯蔵条件の差による比較醸造, さらに本年度は県下全般に使用される見込みのふじみのり種 (以上何れも1年貯蔵の県産米) について試醸を行ない, 結果はその都度業界に周知をはかり, 適切な製造管理に資するための参考に供してきた。なお, 県酒造組合技術委員会においても42年度における宵米醸造についてアンケート調査をなし, 情報を交換し合ってぬかりのない酒造と酒質の向上に役立てている。 これらのものから参考事項を取上げ, 主として42酒造年度において当場が行なった標題について報告する。 ただ, 遺憾ながら都合により (持越米があったことと購入の関係で早期着手に間に合わなかったため) 同一品種についての比較はできなかった。