米しょうちゅうの1次・2次もろみおよびこうじの製造要因を採り上げ, 直交表にわりつけた種々の条件下で製造した場合のアルコール収得量 (以下単に収得量という) を検討した。 1.仕込配合 (1) 汲水歩合を170%にのばせば収得量の増加をみるが, さらに200%までのばしても収得量の増加は認められなかった。 (2) こうじ歩合は従来の50%を35%に減少させても収得量に影響しないが, 25%に減らすともろみの残糖が多く, 収得量は低下した。 2.1次もろみ 汲水歩合 (120%と150%の比較), 品温経過 (25℃と30℃), もろみ日数 (4日と8日) およびもろみ酸度 (酸度18と25) は収得量にほとんど影響を与えなかった。 3.2次もろみ (1) もろみの品温経過は中温が最も収得量多く, 以下高温, 低温, 超高温経過の順に低下した。 (2) もろみ日数は17日間を12日間に短縮することも可能である。 (3) 追水効果は汲水歩合150%以上では認められなかった。 4.こうじ (1) 黄こうじは白こうじに比較して, 酸が極端に少なく, α-アミラーゼカは強いが, 非耐酸性であり, 酸性プロテーゼカは逆に弱くなっている。 (2) こうじ米を軟かく調製すると硬くしたものにくらべ, デンプン消費量が多くなる。 (3) 1次もろみ熟成までに黄こうじの酷アミラーゼカは, 仕込直後の1%以下 (白こうじは50%程度) に失活する。(4) 黄こうじ仕込みはアミラーゼの失活が大きいため, 収得量は低下する, (5) こうじは1次・2次の2段に分けて使用すると収得量は向上する。特に黄こうじの場合にその効果が著しい。